ハイゲート英語塾の授業を受講してくださった沼田賢治様が、ハーバード大学医学部のブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH)に留学することが決まりました。ブリガム・アンド・ウィメンズ病院は、ハーバード大学医学部の第二の教育病院であり、マサチューセッツ州ボストンのロングウッド医療地区で最大の病院です。BWHでは、世界初の成功した心臓弁手術や世界初の実質臓器移植などの先駆的な医療実績があります。

沼田様の留学準備のお手伝いを微小ながらもできたことをとても嬉しく思います。以下に、沼田様の留学先での研修内容をまとめて掲載しておりますので、是非ご覧ください。
沼田様の今後のご活躍を心より応援しております。


沼田賢治と申します。広島県出身で、広島大学を2009年に卒業し、現在は聖マリアンナ医科大学病院の救急科医長として勤務しています。私の専門は救急医療であり、小児救急、総合診療、集中治療、緩和ケアなどを学んできました。救急科専門医、内科認定医として日々患者の診療にあたっています。私は川崎宮前ロータリークラブのグローバル奨学金候補生として、ロータリー財団の奨学金を受けて研究を進めています。
日本では高齢化が進み、2040年には「多死社会」を迎えると予測されています。救急車の出動件数も増加し、その多くが高齢者です。終末期患者が救急外来を受診することが多くなっている中で、終末期医療の知識と技術が求められています。しかし、文化的背景や医療現場の慣習から、終末期医療の導入は困難を伴います。一方、アメリカでは救急医が学べる終末期医療トレーニングコースが開発されています。この問題を解決するために、私は日米間の終末期医療の違いに着目し、日本向けのトレーニングコースを開発するための研究を進めています。
私が救急外来での終末期医療を学ぶために留学を決意した背景には、救急医として経験した一つの症例があります。80歳の男性患者が肺小細胞がんで化学療法中に重症腸炎(Clostridium difficile感染)で搬送されました。予後を考えると手術は避けるべきと判断しましたが、それ以外の治療を実施しました。それは「頑張らなければならない治療」でした。最終的に、患者は亡くなり、家族から「もう少し楽に逝ける方法はなかったのか?」という問いを受けました。この経験を通じて、私は緩和ケアや終末期医療の重要性を強く感じるようになり、教育システムが構築されているアメリカで学ぶことにしました。
私の研究計画は、まず救急医に対する半構造化インタビューという手法を通じて、救急外来における終末期医療の実施に関する障壁を明らかにすることから始めます。その後、米国の救急医向けの終末期医療トレーニングであるEPEC-EM(Education for Physicians on End-of-Life Care in Emergency Medicine)を参考にし、日本の医療現場に適応したトレーニングコースを開発します。このコースは、救急外来での終末期医療に必要な知識と技術を包括的に学べる内容とし、救急医の育成を目指します。EPEC-EMの内容分析を行い、その知見を基に、日本の医療従事者が無理なく受講できるコースを構築します。この研究は、聖マリアンナ医科大学の倫理委員会の承認を得て進められており、既に多くの協力を得ています。最終的には、開発したトレーニングコースを日本全国で普及させることで、終末期医療の質を向上させ、患者のQOL(Quality of Life)を高めることを目指しています。
この研究を通じて、私は日本の救急医療における終末期医療の重要性を広く認識させ、医療従事者の技術向上と患者のQOL向上に寄与したいと考えています。皆様のご支援をいただきながら、これからも精進してまいります。